『ローマ史』55-16

「確かにあなたが正しいです。」
リウィア*1は答えた。
「そして私にはあなたへの助言があります。―すなわち、もしあなたが助言を望むのなら、そして私を非難しないのなら、なぜなら私は女ですが、あなたにあることを提案する勇気を持っています。他の誰も、あなたの親友さえ、それを提案しようとはしないでしょう。―彼らがそれに気づいていないからではなく、それを話すほどに大胆ではないからです。」
「はっきり言ってくれ、」
アウグストゥス*2は返答した。
「それが何であろうとも。」
「話しましょう、」
リウィアは言った。
「躊躇わずに。なぜなら私はあなたの幸運と不運を共有しています。そしてあなたが安全な間は、私も支配の一端を預かることができます。しかしあなたが傷つけば(そんなことが起こりませんように!)私は共に死ぬでしょう。もし、人間の本性がある行動の順序をたどらせようと働いた時にそれを抑制する方法がなければ、そしてもし、ある者達が(多くの欠点を考察の対象から外すと)よい行動と考える者さえ、直ちに非常に多くの者にとって悪事への誘因となるならば(例えば、高貴な生まれを自慢し、富を誇り、栄誉に尊大になり、勇気に横柄になり、力を自負する、これらは全て大勢に悲しみをもたらします。)、」