2007-01-01から1年間の記事一覧

『ローマ史』55-03

アウグストゥス*1は元老院の開会日を固定させた。以前は期日の明確な規定は無かったので、しばしば議員が欠席していた。月に2回の定例会議を定めることによって、少なくとも法で召喚された人々は出席しなければならないという圧力を感じるになった。また彼ら…

『ローマ史』55-02

アウグストゥス*1はドルスス*2の病気を知るとすぐに(というのも彼は遠くにはいなかったから)、ティベリウス*3を彼の元へ急いで送った。ティベリウスはまだドルススの息があるうちにまみえた。彼が死ぬと遺体をローマに運んだ。旅程の最初期の軍団の冬季陣…

『ローマ史』55-01

翌年*1ドルスス*2は, ティトゥス・クリスピヌスとともにコンスル*3になった。そして、悪い兆候が起こった。多くの建物が嵐や落雷によって破壊された。被害のあった建物には多くの神殿が含まれ、ユーピテル・カピトーリヌス*4と彼と共に祀られた神々の神殿さ…

『ローマ史』00-00

英日訳です。 カッシウス・ディオ - Wikipedia 底本 Cassius Dio — Book 55 Dio's Rome, Volume 4 by Cassius Dio Cocceianus - Free Ebook

水道が地下を通る距離が長い理由

塩野七生は次のように書く。 だが、ローマが大帝国になって以後につくられた水道でも、地上と地下の比率は二対四か五程度で、地下の坑道を通す距離のほうが長い。その理由は第一に、流水中の水の温度の上昇を押さえるためであり、第二に、流水中の水分の蒸発…

アッピウス・クラウディウス

塩野七生は次のように書く。 一人のローマの政治家によって一変する。 その人の名は、アッピウス・クラウディウス。*1 一方、フロンティヌスのローマ水道論の5節には、 アッピウスはガイウス・プラウティウスと共に戸口監察官をつとめ、ガイウスはこの水源と…

ケンソルの任期は5年ではなく18ヶ月(1年半)

塩野七生はケンソルの訳語として財務官を使っている。一般には監察官や戸口調査官が多い。 そして 任期一年の執政官に対し、財務官の任期は五年と長い。これがアッピウスに、一年では終らない公共事業を行える環境を恵んだのだと思う。*1 と書くが、普通は「…

ガリア戦記(講談社学術文庫版−第3刷)の索引正誤表

講談社版の索引は岩波版と比べて単純なミスが多いので岩波版の索引を利用しながら読むとよい。 人名索引 アントニウス (追加)322ウェルティスクス (削除)290カウァリヌス (追加)207ガルバ Sulpicius Galba 総督代理 (削除)73ガルバ Galba スエッシオネス族の…

岩波講座 世界歴史3 古代3

目次 地中海世界Ⅲ ドミナートゥスの成立 ローマ皇帝支配の意識構造 パルティアとササン朝ペルシア ローマ法学の成立 南アジア世界の形成 総説 インダス文明とアーリヤ世界の背景 アーリヤ世界とガンジス古代諸国家 マウリヤ古代統一帝国 古代インドの宗教と…

ローマの歴史家目次

目次 背景としてのヘレニズム カエサルの死去までのローマの歴史家 サルスティウス 人として、作家としてのリウィウス 歴史家としてのリウィウス タキトゥスとその先駆者たち 歴史家タキトゥス アンミアヌス・マルケリヌス ローマの歴史家 (1978年)発売元: …

ローマ帝国論 序説 共同体と支配

共同体の形態 マルクスの前資本主義世界の共同体の3形態 アジア的形態 古典古代的形態 さらにウェーバーの古典古代共同体3類型にブレークダウン 貴族制ポリス 重装歩兵ポリス 民主政市民ポリス ゲルマン的形態 共同体の原理 「共同態」ないしは「平等」の原…

ローマ帝国論目次

目次 序説 共同体と支配 第一 ローマ市民共同体の発展 一 グラックス以前 重装歩兵ポリスの成立 重装歩兵ポリスの完成 アッピウス=クラウディウスの改革 第一次ポエニ戦争とその結果 第二次ポエニ戦争以後の海外征略とローマ市民共同体の分解 二 グラックス…

ティベリウスの演説を評価した人。

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は、ティベリウスの演説に対する評価として 一部の議員たちは謙遜と評した。他の一部は、自分に自信が…

人間と神々の法

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は、ティベリウスの演説を 「…わたしの望みは、神々がこのわたしに生命のあるかぎり、精神の平静ととも…

名誉ある競争

世界古典文学全集〈第22巻〉タキトゥス (1965年)発売元: 筑摩書房発売日: 1965posted with Socialtunes年代記〈上〉ティベリウス帝からネロ帝へ発売元: 岩波書店価格: ¥ 1,050発売日: 1981/01売上ランキング: 12459おすすめ度 posted with Socialtunes3巻5…

公共事業費膨張ではない

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は、 不正によって膨張していた公共事業費も、これによって減少した。*1 と書いたが、年代記3巻31節で…

軍旗は捨てていない

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は、紀元14年のパンノニア軍団の反乱の収束時に 放り捨ててあった軍団旗や大隊旗も、誰言うともなく取…

喪服のアグリッピーナ

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は、取り巻きのクラウディア・プルクラが告発されたときのアグリッピーナの台詞として そのわたしが、…

ピソとプランキーナの反応

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生はゲルマニクスの死を知ったときのピソ達の反応として次のように書く。 ピソの妻プランキーナは喜びを…

ローマ史第2巻-108節 マロボドゥウス

ゲルマニアでマルコマンニ族*1以外で征服されない者はなかった、指導者マロボドゥウス*2の呼び出しで居留地を去り、内部へ退き、今はヘルキュニアの森*3に囲まれた平原に居住していた。この人マロボドゥウスについて言及せずにすませるほど急ぐべきではない…

ローマ史第2巻-107節 ゲルマニア戦争 エピソード

これらの大きな出来事の中でさえ、この小さな出来事を差し込むことを控えることができない。 我々は前述の川のこちらの岸に野営し、あちら岸に、敵軍(我々の船が移動し操縦する度に逃げる姿勢を示した)の武器がきらめいていた、野蛮人の1人(年をとってい…

アグリッピーナの3つのエピソード。

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は、p.216-218にかけて3つのエピソードを紹介した後で次のように書く。 これらの家庭内のエピソードを…

ローマ史第2巻-106節 ゲルマニア戦争

天よ、どれほど大きな巻物が次の夏のティベリウス・カエサルの指導下での我々の業績の物語で埋めることができるだろうか! 全ゲルマニアが我が軍によってくまなく渡り歩かれ、今までほとんど知られなかった民族(名前さえ)が征服された、そしてカウキー族は…

反乱首謀者の死体の処理。

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は次のように書く。 二人の死体は兵士たちの眼にふれないように、宿営地から遠く離れた森のどこかに埋…

災害援助の額

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は、紀元17年のアシアの地震について 一、緊急援助とインフラ設備の再建に、一億セステルティウスの国…

幕僚の意見は分かれていた。

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は 使節を送り出した宿営地の中は平常にもどり、誰もがティベリウスからの回答待ちで一致しているかの…

ローマ史第2巻-105節 ゲルマニア戦争

彼はすぐゲルマニアに入った。カンニネファテス族、アットゥアリイ族*1とブルクテリ族は征服された、 ケルスキ族(この民族の一員のアルミニウス*2がまもなく我々に与える大惨事で有名になるはずだった)は再び征服された、ウィスルギス河*3を渡り、その向こ…

賜金は全廃していない。

ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1)発売元: 新潮社価格: ¥ 460発売日: 2005/08売上ランキング: 4109おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は そして平民対策だが、二代皇帝ティベリウスは、皇帝からの賜金という名のボーナスは全廃したのであ…

告発されたのは1人ではない。

ローマ人の物語〈18〉悪名高き皇帝たち(2)発売元: 新潮社価格: ¥ 420発売日: 2005/08売上ランキング: 8461おすすめ度 posted with Socialtunes塩野七生は次のように書く。 その年に起こった金融危機とは、もはや同士討ちの場と化した元老院で、高利をむさ…

ローマ史第2巻-104節 ゲルマニア戦争

同じ日に、ユリアがアグリッパの死後に出産していたマルクス・アグリッパもアウグストゥスの養子となった、けれどもネロの場合、養子縁組の文書にカエサル自身の言葉で「私は国家のためにこれをする。」と付け加えられていた。国家は長い間帝国の擁護者にし…